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いつかの彼方
夜半、うっすらと開けた目の前に銀時の顔を見い出して驚いた。
頭の下に敷かれた銀時の右腕は月詠の頭を抱え込み、左は腰にしっかりと回されている。
抱かれた腕の中で眠ってしまったのかと自分に呆れ、そのまま抱き続けてくれている銀時に恋しさが募る。
腕が痺れるだろうと、離れようとしても戒めのように固く、強く、月詠に絡む腕が解けない。
月詠はあきらめて銀時の頰に指を添わせ、その面をじっと見つめた。
次はいつ会えるかわからない恋しい男。
少し伸びた髭がざらり、と指にあたる。
そのまま、薄い唇の形をなぞっていくと指に銀時の息遣いを感じた。
温かい銀時の呼気が指に触れて通り過ぎる。
ふと、悪戯心に駆られて月詠は銀時の唇に己が唇を重ねた。
触れるか触れないかの微かな口づけ。
―――ディープなちゅうは知らぬからの
ふふっと泣き笑いの笑みを浮かべ、銀時の懐に潜り込むと銀時がう~んと唸った。
起こしてしまったかと小さくなっていると、月詠の腰に回した左腕がさらに月詠の体を引き寄せる。
銀時の体温に包まれて、月詠は再び目を閉じた。
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